志賀は、血の海のなかに、わずかに息のある者の気配を感じた。
「兄貴…一体誰なんです! 誰にやられたんです!」
 梧桐組若頭、梧桐大輔。
 ただひとり、この凄惨な殺戮の宴の中に、虫の息で横たわっていた男の名で
ある。
「…志賀か。ヤツだ、ヤツに…やられた…」
「…どこのどいつなんです、兄貴達をやったヤツは!?」

「モ……モグタン……」

「モグタン!?」